治療の流れ

 インプラント治療は歯が入るまでに最低でも数ヶ月、長い時は1年2年とかかります。重度の歯周炎や顎の機能障害があるときは、それらの治療に数年を要する事もあります。ここではインプラント治療の部分だけについて、模型を使って説明します。興味のある人のために、実際の写真も掲載してあります。


 上の写真は下顎の模型にインプラントを埋入(埋める事)したものです。右の写真は左の写真から歯肉の部分を取り除いて、顎の骨を透明にしてインプラントが見えるようにしたものです。

これはインプラントフィクスチャーと呼ばれる物で、これを今から下顎の模型に埋入していきます。

先ず歯肉にメスを入れて、顎の骨を露出させます。 インプラントを埋入する為に、骨に穴を掘ります。

上の写真のインプラントフィクスチャーをねじ込んで埋入しました。 フィクスチャーの頭にキャップを取り付けます。この後縫合して終わりです。

 インプラントフィクスチャーを骨としっかりと結合させる為に、下顎で2〜3ヶ月、上顎では5〜6ヶ月待つ必要があります。
 その後、歯をかぶせる為の土台を取り付けます。

フィクスチャーが骨としっかり結合したら、キャップをはずし、土台と取り替えます。 これが歯をかぶせる為の土台です。一般的にはアバットメントと呼ばれています。 土台をねじで取り付けました。ここに歯をかぶせます。

 この後、仮歯をかぶせて1ヶ月程度経過を観察し、問題が無ければ最終的な歯をかぶせます。
最終的にかぶせる歯は普通のムシ歯の治療と同じく、セラミックの白い歯や金合金の歯などがあります。

 ここで説明した方法は、インプラントのキャップを歯肉の外に出して縫合する方法で、粘膜の治癒後もキャップは歯肉から出ているので、土台を取り付ける時はキャップを外して土台に置き換えるだけです。この方法は1回法と呼ばれ、最も早く治療が終了します。
ところが、骨の状態が悪く骨造成手術を同時に行う時や、細菌感染の恐れがある時などは、キャップを粘膜の中に入れて縫合し、フィクスチャーが骨と結合してからキャップを歯肉の外に出す手術を行う事もあります。この方法は2回法と呼ばれ、1回法よりもその分治療期間が長く、手術も1回多くなります。
 
 このように、インプラントフィクスチャーにアバットメント(歯を被せるための土台)を取り付けるタイプのインプラントは、2ピースインプラントと呼ばれ、最も一般的なタイプのインプラントです。これに対し、インプラントフィクスチャーとアバットメントが一体となっているインプラントもあります。これは、1ピースインプラントと呼ばれ、治療回数およびパーツや技工費用も少なくて済むため、治療費を安く抑えることができますが、適応条件は限られます。

 


 それでは、2回法のインプラント埋入手術について、実際の手術で見てみましょう。ここから先は、血を見ると気分が悪くなる人は見ないで下さい。


 さて皆さん、上の写真のどの歯がインプラントかお分かりですか。答えは下の1番奥の歯と、奥から3番目の歯です。この症例の奥から3番目の歯について、2回法インプラント埋入手術の実際を見ていきましょう。

右下の犬歯の後ろの第1小臼歯が抜けています。ここにインプラントを埋入します。 フィクスチャーを埋入してキャップを付けました。骨が細いのでフィクスチャーが少し露出しています。ここに骨を作る為の処置をします。

フィクスチャーが露出している所に骨補填材(骨が出来るのを助ける材料)を置きます。 骨補填材を覆うように膜を置きます。この膜の下に数ヶ月で骨が出来ます。

溶ける糸で膜を固定した後、キャップと膜を完全に覆うように縫合します。 数ヶ月後、歯肉を切ってキャップを背の高いのに取り替えて縫合します。

1ヶ月後、キャップを外して土台を取り付けます。 土台に歯をかぶせました。上の歯も綺麗に治療しました。

 いかがでしたか?インプラント埋入手術の1回法と2回法について、理解できましたか。インプラント埋入手術にはこの他にも様々なバリエーションがありますが、基本はこの2種類です。上の写真を見ると、痛そうなので受けたくなくなりましたか?
 心配無用です。インプラント埋入手術は痛みや腫れはほとんどなく、その証拠に痛み止めを飲む人はほとんどいません。どうかその点は心配なさらずに、安心して治療を受けて下さい。


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